まずは知ることから

不妊治療は、もともと二人の間にあった不妊原因に加え、加齢による卵子の質の低下、すなわち時間ともたたかうことになります。
これを知っていると知らないとでは、二人が選ぶ道は大きく違ってくることでしょう。

「知る」ことは重要ですが、インターネット上の医療情報は玉石混交です。
信頼できる情報から信頼できない情報まで、あふれています。
そこで『MedeTa』では、大学教授監修のもと、妊娠の仕組み~高度生殖医療まで、不妊治療についての信頼できる情報をお届けします。

貴重な時間を無駄にしないために、自分らしい選択をするためにも、不妊のこと、不妊治療のことをきちんと理解してください。

監修

大阪大学大学院医学系研究科教授
大橋 一友先生

<プロフィール>

大阪大学大学院医学系研究科教授、医学博士
1982年 : 大阪大学医学部卒業 大阪大学助手
大阪府立成人病センター婦人科医長、関西労災病院産婦人科部長などを経て、2002年より大阪大学医学部教授(保健学科)に就任する。
2004年~現在 : 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻教授
2010年~2012年 : 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻長
2011年~2014年: 大阪大学グローバルコラボレーションセンター長(兼任)

<専門>

産婦人科学、生殖科学

<活動>

JICAを通じての海外での活動や国内での研修を実施。
また日本不妊カウンセリング学会では、不妊カウンセラーや体外受精コーディネーターの養成を行い、不妊症で悩むカップルの支援を行っている。

不妊について学ぼう

妊娠したい

妊娠のプロセス』には、小さな命が母親の胎内に宿るまでの奇蹟のストーリーが記されています。不妊治療をしていない人も、不妊治療中の人も、まずは読んでおきましょう。そして、どうしても意識しなければいけないのが『妊娠のリミット』です。また、『二人で目指す妊娠』では、【基礎体温】のとらえ方、妊娠しやすい【夫婦生活のタイミングと間隔】、【排卵検査薬】の活かし方、人にはききづらい【夫婦生活のこと、そのあとのこと】など、病院を訪ねる前にチャレンジできることをまとめています。

不妊とは?

不妊は、「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで夫婦生活(性交)をしているにもかかわらず、1年間、赤ちゃんができていない状態のこと」と定義されています。「私たちも1年以上できていない……」、そう思われたご夫婦には、早めに不妊治療に力を入れている病院を受診されることをおすすめします。また、排卵していない、子宮内膜症があるなどの不安材料がある場合、女性のご年齢が35歳以上と高めの場合などは、1年を待たずして受診されてみても良いでしょう。

不妊の原因

不妊の原因』は、女性側だけとは限りません。不妊症カップルの3~4割には、男性不妊が見つかります。不妊検査を受ける場合には、精液検査を後回しにせずに、できるだけ早めに受けましょう。女性側の不妊原因は、加齢による卵子の老化を除くと、『排卵の問題』(多嚢胞性卵巣症候群、早発閉経など)、『卵管の問題』(卵管閉塞、卵管留水腫など)、『子宮の問題』(黄体機能不全、子宮腺筋症など)、『そのほか』(抗精子抗体、子宮内膜症、機能性不妊など)の4つに大別することができます。

不妊治療について

赤ちゃんを待つのではなく迎えに行こう(治療を受けよう)と決めたお二人には、ぜひ『不妊治療をはじめる前に知っておきたい7つのこと』を読んでいただきたいと思います。また不妊治療においては、不妊原因を調べたうえで、できるだけ医療の介入度が低い治療段階からスタートするステップアップ治療が行われる場合が多いのですが、奥さまの年齢、不妊期間などを考慮して、最初から体外受精などのART(生殖補助医療)をすすめられるケースもあります。『不妊治療の進め方』を参考になさってください。

不妊の検査

避妊せずに夫婦生活(性交)を持って1年間経っても赤ちゃんができなければ、何らかの妊娠しづらい理由があると考えて、不妊治療に力を入れている病院で、不妊検査を受けてみましょう。まずは、『不妊とスクリーニング検査』にあげた基本的不妊検査(1基礎体温表、2ホルモン検査、3子宮卵管造影検査、4超音波検査、5精液検査、6フーナーテスト、7クラミジア検査)を受けて、どの治療法から不妊治療をスタートできるか見極めます。さらに必要があると判断されれば、『くわしい検査』を検討します。

一般不妊治療

ここでは、ステップアップ治療の第一段階となる『タイミング指導』、必要な場合はそれを補う『投薬治療』、そして第二段階となる『人工授精(AIHもしくはIUI)』などの一般不妊治療について解説しています。 治療段階が上がることで、医療の介入度が増し、二人が感じる負担感も高くなりますが、その分1周期あたりの妊娠率も上がります。タイミング指導の有効回数は、それまでの不妊期間にもよりますが6~12回程度、人工授精の有効回数は6回程度といわれています。

体外受精

体外に採り出した卵子と精子を混ぜることで自然に受精した卵を、子宮内に移植して着床を期待する高度生殖医療技術(ART/アート)を体外受精IVFといいます。不妊原因(卵管性不妊、長期間の原因不明不妊、重度の男性不妊など)によっては、一般不妊治療での妊娠が難しく、ステップアップ治療の第三段階である体外受精が必要になることがあります(『こんな二人におすすめします(適応)』)。ここでは、『体外受精の流れ』、『体外受精の妊娠率』、『体外受精の費用』なども解説しています。

顕微授精

卵子と精子を混ぜるだけの体外受精IVFでは受精が難しそうな場合や受精障害がわかった場合には、体外に採り出した卵子の細胞質内に1個の精子を直接注入する顕微授精ICSIを行い、受精卵ができることを期待します。顕微授精の手技とそれに用いる精子の選別以外は、体外受精IVFの流れと同じです(『顕微授精の流れ』)。最近では、国内でも体外受精をしのぐ勢いで顕微授精が行われています。ここでは、『顕微授精の妊娠率』、『顕微授精の費用』なども解説しています。

男性不妊

避妊せずに夫婦生活(性交)を持って1年間経っても赤ちゃんができない場合には、まずは不妊治療に力を入れている産婦人科で、夫婦ともに基本的不妊検査を受けてみましょう。精液検査を複数回受けた結果、男性不妊と診断された場合でも、奥さまだけがそのまま産婦人科に通って男性不妊をカバーする不妊治療を受けなければならないケースがほとんどですが、ご主人も『泌尿器科での男性不妊検査』を受け、『男性が泌尿器科で受ける治療』がないかを探る道もあります。

流産と不育症

流産』や『異所性妊娠(子宮外妊娠)』で、一度、胎内に感じた命を失うことは、女性にとって堪え難い喪失体験です。それが不妊治療を受け、ようやく授かった命ならば、なおさらでしょう。2回以上の流産(反復流産や習慣流産)や死産、早期新生児死で児を得られない状態を『不育症』といいます。該当する方は、『不育症のスクリーニング検査(一次検査)』を検討してみましょう。リスク因子が見つからなかった場合には、防ぎようのない胎児の偶発的な染色体異常を繰り返したととらえましょう。

不妊治療の用語集

不妊治療は、必ず良い結果になると確約されたものではありませんので、夫婦で納得して受けることがとても大切です。診察室で聞きそびれてしまった不妊治療の専門用語はありませんか? 病院での待ち時間を使って、その意味を調べてみましょう。担当医の説明がすんなり入ってくるようになると、漠然とした不安も徐々に減っていきます。自分たちの受けている治療がよく理解できれば、夫婦からのリクエストも伝えやすくなるはずです。どうか、より良い治療を受ける助けに活用してください。

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