精索静脈瘤手術

精子の質を改善するため、体外受精に進む場合でも手術を受けるという新しい考え方

精索静脈瘤があると、精巣の温度が上がり、精子をつくる機能やDNAの合成能力、精細胞の減数分裂能が低下するとされています。

また持続性に低酸素状態となり、精巣機能に障害を起こします。

つまり、精子の数が減るだけでなく、精子のDNAが損傷し、精子の質が低下する可能性があるのです。

自覚症状を訴える方は、あまり多くはありませんが、陰嚢部の腫れに気がついたり、違和感を覚えたりされる方もいます。

精索静脈瘤は、男性不妊の方の25~40%に認められますが、一般男性では10~15%程度です。

男性不妊の方に多く見られることから、精索静脈瘤の治療が精液所見の改善につながるとして、泌尿器科では積極的に手術が行われてきましたが、近年、コクラン共同計画という最も信頼性の高いエビデンスのとれた研究報告を行っている団体によって「精索静脈瘤の手術は男性不妊の治療として有効ではない」という結論が出されたのです。

ところが、このレビューに対しては、多くの泌尿器科医が異論を唱えていて、軽症の精索静脈瘤が調査対象に含まれていたために、このような結論を招いたのではないかとの指摘を行い、重症の精索静脈瘤は手術を行う意味があると主張しています。

精索静脈瘤の手術を受ける場合、これまでは、一定期間、精液所見の改善がみられるかどうかの経過観察を行い、自然妊娠に向けてのチャレンジが行われてきました。

ただし、これからは精子のDNA損傷が心配されるようなグレード(重症度)の精索静脈瘤であれば、精子の質をベストにすることを目的に、術後3カ月を目処に体外受精(IVF)顕微授精(ICSI/イクシー)といったARTに進むという道もあることを踏まえて、手術を受けるかいなか選択すべきでしょう。

【精索静脈瘤の手術をおすすめするケース】

  1. 自然妊娠を強く希望していて、奥さまの年齢が若く、女性に不妊原因が見つかっていない
  2. 自然妊娠を強く希望していて、精索静脈瘤のグレードが高い(重症)
  3. 精子の質をベストにもっていくため、精索静脈瘤を手術して、なおかつARTに進む

情報更新日:2021年12月9日


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