卵管留膿腫・卵管留水腫

どんな病態なの?

排卵された卵子をからめとって卵管内に入れる重要な役割を担っている卵管の先端部分を、卵管采(らんかんさい)といいます。ここが、炎症によって癒着を起してしまうと、うまく卵子を取り込めなくなってしまいます。

さらに、卵管采が閉じた部分に膿みがたまって卵管留膿腫になったり、さらにそれが長期化して水(漿液/しょうえき)がたまって卵管留水腫になったりして、卵管全体がソーセージのような形状になっていることもあります。

妊娠するためには、どんな方法があるの?

【卵管采を再建し、自然妊娠をねらう卵管開口術】……

顕微鏡下手術(マイクロサージャリー)、腹腔鏡(ラパロスコピー)下手術などで、卵管采の癒着をはがす卵管采形成術、卵管留水(膿)腫のできた卵管采を十文字に切開する卵管開口術を行い、夫婦生活や人工授精(AIH)で妊娠を期待します。なお、卵管鏡下手術(FT)では、卵管開口術ができませんので、卵管留水腫、卵管留膿腫は適応外です。卵管形成術の中では、もっとも術後の自然妊娠率が低いとされるのが卵管開口術ですが、これは卵管留水(膿)腫ができた状態の卵管内の機能が著しく落ちていることが一因と思われます(直径31mmを超える卵管水(膿)腫が認められたケースでの卵管開口術後の妊娠率は16%との報告もあります)。とはいえ、ゆくゆく体外受精などのARTに進むことになった場合でも、開口術を受けていれば、卵管内にたまった水が胚移植後に子宮内に逆流してきて妊娠率を下げるようなことも起こらないとも報告されており、手術の意義がある可能性があります。

【両側に卵管留水(膿)腫がある場合には、卵管を必要としない体外受精】……

両側に卵管留水(膿)腫ができている場合には、第一選択に体外受精(IVF)顕微授精(ICSI)を選ぶケースがほとんどです。奥さまの年齢などから妊娠を急ぐ場合、ほかにも不妊原因がある場合などは、やはりARTが望ましいでしょう。ただし、卵管留水(膿)腫内の液体が子宮内に逆流してくるようなケースでは、良好な胚を移植しても着床率が下がるといわれていますので、移植前にあらかじめ内溶液を抜く、卵管口をしばる、卵管を切除するなどの処置が必要になることもあります。

情報更新日:2021年12月9日


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