多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)

どんな病態なの?

小さな卵胞が多数育つけれども、なかなか排卵が起こらず、月経周期や排卵に異常が起こっている状態。診断基準としては、以下の3つがあげられています。

  1. 月経異常がある(月経周期が長い、無排卵など)
  2. 多嚢胞卵巣(超音波断層検査で両側卵巣に多数の小卵胞がみられ、少なくとも一方の卵巣で2-9mmの小卵胞が10個以上存在するもの)卵巣表面に小さな卵胞が並ぶネックレスサインが特徴
  3. 血中の男性ホルモンが高いまたは卵巣刺激ホルモン(FSH)は正常値なのに黄体化ホルモン(LH)が高値

自然周期でも自力で排卵のある方からクロミフェン製剤など排卵誘発剤を服用しても排卵が起こりづらい方まで、排卵障害の程度には差があります。卵巣刺激によって多数の卵胞が育つため、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)のリスクが高い方です。また、インスリンへの反応が異常になっているケースがあるため、HOMA-R検査を行ってインスリン抵抗性を評価することがあります。

妊娠するためには、どんな方法があるの?

【肥満が改善されるだけで月経異常が改善するケースも】

インスリン抵抗性があるためか、PCOSの方の約20%が肥満だといわれています。運動療法と食事療法を併用し、ゆるやかなダイエットを行うことで、月経周期が整ってくるケースもみられます。

【排卵誘発剤を用いて卵胞の成長を後押しします】

クロミフェン製剤を服用したり、FSH製剤(OHSSの方は、もともと自身のLHの基礎値が高いので、LH成分を含むhMG製剤は向かないとされています)を投与したりするなどして、卵胞の成長を助け排卵に導きます。

【腹腔鏡下手術(ラパロスコピー)で卵巣表面に多数の小さな穴をあけて排卵を助けます】

腹腔鏡(ラパロスコピー)下にレーザーもしくは電気メスを使って、卵巣の厚くなった表面に直径5~10mmの穴を多数あけ、排卵しやすくする腹腔鏡下卵巣焼灼術があります。軽度ながらも周囲の臓器と癒着が起こる可能性があります。

【投薬治療を行いながらステップアップ治療を行います】

排卵誘発剤を用いることで、卵胞の成長をアシストしながら、タイミング指導→人工授精(AIH)→体外受精などのARTとステップアップ治療を行います。PCOSの方は卵巣刺激によってOHSSになりやすいため、ARTではOHSSの重症化を回避するのに有効なアンタゴニスト法や未熟卵子体外培養体外受精法(IVM-ET)が用いられます。

【メトフォルミン製剤『グリコラン』の投与】

HOMA-R検査の結果、抵抗性が高かった方には、インスリン感受性治療薬のメトフォルミン製剤を投与する場合があります。効果は限定的ですが、服用によって月経異常が改善されたり、クロミフェン製剤への感受性が高まったりする場合もあります。

情報更新日:2021年12月9日


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